我々の太陽系以外にも惑星系が存在し、そこで生命活動が営まれているかどうかは、私たちの大きな関心事です。惑星は、恒星をとりまくガスやダストからなる円盤(原始惑星系円盤)の中で作られます。 原始惑星系円盤は惑星系が形成さるとともに消失すると考えられています。しかしながら、円盤のどの領域から消失していくのかは、今までは明らかではありませんでした。
わたくしたちは、惑星系を作りつつあると思われる若い星の赤外線画像を、赤外線天文衛星「あかり」とWide-field Infrared Survey Explorer(WISE)の全天観測データを用いて多数取得しました。これらには、個別には円盤を検出できない 天体も含まれますが、赤外線画像を足し合わせることで、実質的な感度を向上させました。これにより、ダストから放射される赤外線の減衰時間を調べました。その結果、 円盤は内側から消失するという従来の予想に反して、中間領域(約1 au)と外側領域でダスト消失時間がほぼ同じであることを明らかにしました。本研究結果が消失過程の時間的制約を示したことで、惑星形成過程の理論的研究がさらに進むと期待されます。
原始惑星系円盤の模式図。中心星からの距離と温度、ピーク赤外線波長の関係を示す。
原始惑星系円盤の進化。赤線が我々の観測結果で、青・オレンジが個別の天体の先行 研究結果を示す。
しかし、スノー ラインの直接的な観測は未だな く、その存在・位置は理論的な ものにとどまっています。 スノーラインは本 当に存在するのか、理論通りの 位置に存在するのかを掲げ、こ れを観測的に検証することを目 指して、専用の分光器の開発を進めています。
スノーラインの模式図。スノーラインが、「岩石型惑星」と「ガス型惑星」の 形成領域を分けたと考えられています。
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nakagawa @ ir.isas.ac.jp
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